
AIプロンプトとは、生成AIに「何を、どの条件で、どんな形にしてほしいか」を伝える指示文です。最小構成は**「目的+入力+出力形式」**。まずこの3点を書き、必要に応じて役割、背景、制約を足すと、短くても使いやすい回答を得やすくなります。
大切なのは、長い「呪文」を覚えることではありません。AIの最初の回答を下書きとして確認し、足りない条件を一つずつ追加することです。
執筆・検証:AFFiNE Product Team(2026年7月30日、日本語編集レビュー済み)
急いで試すなら、次の3行から始めてください。うまくいかなかった箇所だけ、後から条件を足します。
目的:{誰が、何をできる状態にしたいか}
入力:{AIに参照させる文章やデータ}
出力形式:{箇条書き、表、見出し構成など}
{ } 内を自分の状況に置き換える方が有効です。生成AIにおけるプロンプトは、質問だけを指す言葉ではありません。「要約して」「比較して」「表にして」といった作業指示、参考にする文章やデータ、守ってほしい条件まで含む入力全体です。
たとえば「企画を考えて」だけでは、誰向けで、何を達成し、どの予算や期間を前提にするのかが分かりません。AIは空白を推測して埋めるため、もっともらしくても実務では使いにくい案になることがあります。
一方、「新入社員向けの30分研修を企画してください。目的は情報セキュリティの基本行動を覚えること。表形式で、時間配分・説明内容・演習を示してください」と書けば、判断材料がそろいます。ただし、条件がそろっても事実性までは保証されません。社内規程や法令に関わる箇所は、必ず一次資料と照合してください。
実務で迷ったら、次の6要素を上から順に埋めます。毎回すべてを書く必要はありませんが、期待と違う回答が出たときの確認表になります。
| 要素 | AIに伝えること | 短い例 |
|---|---|---|
| 役割 | どの視点で考えるか | BtoBの編集者として |
| 目的 | 最終的に何を達成するか | 読者が比較基準を決められるようにする |
| 背景 | 誰が、どんな状況で使うか | 初めて導入を検討する5人チーム向け |
| 入力 | 何を材料にするか | 以下の会議メモと決定事項候補 |
| 制約 | 守る条件、扱わない範囲 | 400字以内、推測は推測と明記 |
| 出力形式 | どんな形で返すか | 結論、理由、次の行動の3つの見出し |
基本テンプレートは次のとおりです。
# 役割
あなたは{役割・専門分野}です。
# 目的
{この依頼で達成したいこと}
# 背景
{対象者・利用場面・前提}
# 入力
{参考にする文章、データ、メモ}
# 制約
- {文字数・期間・トーン}
- 不明な点は推測せず「要確認」と書く
# 出力形式
{箇条書き、表、見出し構成など}
「役割」は万能ではありません。「あなたは世界最高の専門家です」と強く言っても、材料が不足していれば正確になるわけではないからです。役割は視点や言葉遣いをそろえるために使い、事実を補うものだと考えないようにします。AFFiNE AIの概要のように、元のノートとAIの出力を同じ作業空間で見比べられる環境なら、どの条件を直したかも残しやすくなります。
編集部注: AFFiNEは、本記事の発行元が開発・提供する製品です。本文中では、プロンプトを保存・比較する用途に関係する範囲で紹介しています。AIの出力は、AFFiNEを利用する場合も人による確認が必要です。
説明だけで形式が伝わりにくい場合は、入力例と望ましい出力例を1〜2組添えます。これは例示プロンプト(Few-shot prompting)と呼ばれる方法です。Googleのプロンプト設計ガイドでも、少数の例を使って応答の形式やパターンを示す方法が紹介されています。
次の例にならい、今回の入力を「課題/原因/次の行動」の3列で整理してください。
入力例:レビューに時間がかかり、公開日が遅れた。
出力例:課題|公開の遅延 原因|レビュー時間の見積もり不足 次の行動|担当と期限を事前に決める
今回の入力:{ここに対象の文章を貼る}
例を増やしすぎると今回の入力より例の表現に引っ張られることがあります。まずは短い例を1つ試し、分類や文体が安定しない場合だけ追加します。
回答が合わないとき、すぐに「もっと詳しく」と頼むだけでは改善点が見えません。まず次の5問で、何が欠けているかを切り分けます。
たとえば「この資料を分かりやすくして」は、作業も対象者も完成形も曖昧です。「以下の説明を、新入社員が3分で読める300〜400字に要約してください。専門用語は初出時に説明し、手順は番号付きで示してください」と直すと、どこを評価すればよいかも明確になります。
良いプロンプトは一度で完成させるものではありません。Googleのプロンプト設計ガイドも、用途と実際の応答を見ながらテストと改善を重ねる前提を示しています。次の4段階なら、どの変更が効いたかを追いやすくなります。
新商品の紹介文を書いて。
あなたは家電ECの編集者です。
一人暮らしを始める20代向けに、コードレス掃除機の紹介文を書いてください。
入力:以下の商品仕様だけを使ってください。
目的:読者が自分の部屋に合うか判断できること。
制約:240〜300字。未記載の性能は推測しない。過度な最上級表現を使わない。
出力:見出し、本文、確認が必要な仕様の3項目。
ここで効いているのは「専門家らしく」という言葉ではなく、対象者、参照範囲、禁止事項、確認欄です。回答が長すぎるなら文字数だけを変え、雰囲気が硬いならトーンだけを変えます。一度に複数条件を動かさない方が、次回も再利用できる型になります。
2026年7月30日、本稿の編集を担当した生成AI(GPT-5系)に、次の架空の商品仕様を使った2つの指示を与え、それぞれ1回の出力を確認しました。外部検索は使わず、下記の商品仕様だけを参照させています。引用部分は出力の抜粋です。出力はモデルや設定によって変わるため、ここで示すのは性能評価ではなく、確認方法の一例です。
商品名:コードレス掃除機A
重量:1.1kg
連続使用時間:標準モードで30分
充電時間:約3.5時間
集じん容積:0.5L
付属品:すき間ノズル
最初は「上の商品を紹介してください」とだけ依頼しました。出力には「パワフルな吸引力で、部屋をすみずみまできれいにします」とありましたが、入力には吸引力の情報がありません。また、対象者や確認欄もありませんでした。
次に、改善後のプロンプトへ商品仕様を入れ、対象者を「一人暮らしを始める20代」、制約を「入力にない性能は推測しない」、出力を「見出し/本文/確認が必要な仕様」と指定しました。本文は「約1.1kgで取り回しやすく、標準モードで30分使えるコードレス掃除機です」と入力範囲に収まり、確認欄には「吸引力、充電池の交換可否、保証期間」が分けて示されました。
| 確認項目 | 条件を足す前 | 条件を足した後 |
|---|---|---|
| 入力にない性能を断定していない | × | ○ |
| 読者が自分向けか判断できる | △ | ○ |
| 未確認事項を分けて確認できる | × | ○ |
評価基準を先に決めておくと、「なんとなく良くなった」ではなく、どの条件が役立ったかを説明できます。重要な業務では複数回試し、実際の入力資料と照合してください。
以下の例文では、{ } 内を自分の情報に置き換えてください。入力文に書かれていない事実を補わせないこと、出力後に確認することは全例に共通します。
あなたは法人営業の文章編集者です。
目的:{要件}を伝え、相手から{希望する返答}を得る。
背景:相手は{関係性・役職}。これまでの経緯は{経緯}。
入力:{伝える事実}
制約:敬語を使い、件名を含めて400字以内。未確定事項は断定しない。
出力:件名/本文/送信前に確認する点。
何を変えるとどう変わるか:「関係性」を初回連絡から継続取引へ変えると、自己紹介の量や前置きが変わります。「希望する返答」に期限を入れると、結びが具体的になります。生成した下書きをPageDocで読み直して整えると、事実と表現を分けて確認しやすくなります。
あなたは日本語SEO編集者です。
目的:検索語「{キーワード}」の読者が{解決したいこと}を理解できる構成案を作る。
背景:対象は{読者像}。記事は{想定文字数}字。
入力:必ず扱う論点は{論点}。扱わない論点は{除外範囲}。
制約:検索順位や成果を保証しない。各見出しの役割を1文で説明する。
出力:H1、導入の要旨、H2/H3、FAQ候補5件。
何を変えるとどう変わるか:「読者像」を初心者から担当者へ変えると、用語説明より選定基準や運用論が増えます。「除外範囲」を明示すると、既存記事との重複を減らせます。
あなたは会議ファシリテーターです。
目的:30分で{決めること}について結論を出す。
背景:参加者は{役割}。事前に共有済みの情報は{情報}。
入力:論点は{論点一覧}。未解決事項は{未解決事項}。
制約:報告だけの項目は5分以内。各議題に責任者を置く。
出力:時間/議題/担当/その場で決めること、の表。
何を変えるとどう変わるか:「決めること」を一つに絞ると、報告中心ではなく、意思決定しやすい進行になります。参加者の役割を足すと、誰に判断を求めるかが明確になります。
以下の文字起こしだけを使い、会議メモを整理してください。
目的:欠席者が決定事項と次の行動を確認できること。
制約:発言にない内容を補わない。担当者・期限が不明なら「要確認」とする。
出力:3行要約/決定事項/担当者別TODO/保留事項/要確認。
文字起こし:
{ここに貼り付け}
何を変えるとどう変わるか:「欠席者」を経営会議の出席者へ変えると、背景説明より判断材料が優先されます。出力に「根拠となる発言」を追加すれば検証しやすくなります。運用全体は会議メモを実務に変える手順も参考にしてください。
あなたは調査編集者です。
目的:資料Aと資料Bの一致点、相違点、未確認点を分ける。
入力:{資料A}/{資料B}
制約:入力にない知識で穴埋めしない。数値は単位と対象期間を残す。
出力:比較表の後に「一致」「相違」「追加確認が必要」の3つの見出し。
**何を変えるとどう変わるか:**比較軸を費用、対象者、調査方法などに限定すると、表が実際の判断に使いやすくなります。資料数を増やす場合は、先にAIリサーチアシスタントの使い方のような資料マップを作ると、出典を見失いにくくなります。
以下はPDFの{章・ページ範囲}から抜粋した文章です。
目的:後で原文へ戻れる読書メモを作る。
制約:主張と筆者の根拠を分ける。引用候補にはページ番号を残す。不明点は推測しない。
出力:200字要約/主要な主張3点/根拠/用語/確認したい点。
入力:{抜粋とページ番号}
何を変えるとどう変わるか:「読書メモ」を役員向けブリーフへ変えると、説明より意思決定への影響が前に出ます。ページ範囲を狭めると、数値や例外条件の取りこぼしを見つけやすくなります。ツール選びはPDF AI要約ツールの比較で確認できます。
あなたは{科目}の学習支援者です。
目的:{概念}を暗記ではなく、自分の言葉で説明できるようにする。
背景:学習者は{学年・前提知識}。
制約:最初から答えを全部示さず、説明→短い確認問題→解説の順に進める。
出力:身近な例/要点3つ/確認問題2問/解説。
**何を変えるとどう変わるか:**前提知識を具体的にすると、説明の起点が変わります。「身近な例」を図解へ変えると、要素同士の関係をつかみやすくなります。
以下の授業ノートだけを使い、復習用の小テストを作ってください。
目的:用語の暗記ではなく、理由と使い分けを確認する。
制約:選択式3問、短答式2問。ノートに答えがない問題は作らない。
出力:問題編と解答・解説編を分ける。各解答に根拠となる見出し名を付ける。
ノート:{ここに貼り付け}
**何を変えるとどう変わるか:**問題数だけを増やすと似た問題が重なりやすいため、「定義・比較・応用」の配分を指定すると幅が出ます。難易度を上げるなら、ノートにない知識を足すのではなく、理由を説明する設問を増やします。
あなたはプロジェクトコーディネーターです。
目的:{目標}を、担当を割り当てられる作業に分解する。
背景:期間は{期間}、人数は{人数と役割}、利用できる資源は{資源}。
入力:確定済みの条件は{条件}。未確定は{未確定事項}。
制約:推測した前提を「仮定」と表示する。依存関係を示す。
出力:成果物/作業/担当候補/期限/依存関係/確認事項の表。
**何を変えるとどう変わるか:**目標を成果物の形で示すと、抽象的な活動ではなく完了条件が生まれます。期間を短くすると、必須作業と後回しにする作業の切り分けが必要になります。
以下の計画を、実行前レビューの材料として点検してください。
目的:見落としやすい前提と失敗時の対応を洗い出す。
入力:{計画}
制約:不安をあおらず、入力から判断できない事項は質問にする。法務・安全・費用は断定しない。
出力:リスク/起こりやすさの根拠/影響/予防策/発生時の対応/確認担当。
何を変えるとどう変わるか:「起こりやすさ」を数値で出させると根拠のない精密さが生まれやすいため、根拠の有無を先に尋ねます。レビュー対象を公開前、導入前、契約前などに絞ると、確認項目が具体的になります。
プロンプトはサービスへ送信されるデータです。個人情報保護委員会の注意喚起では、生成AIサービスへ個人情報を入力する際、利用目的や提供事業者による取り扱いを確認するよう求めています。会社、学校、研究機関で使う場合は、サービスの設定だけでなく所属先の規程を優先してください。
入力前に次の順で確認します。
「顧客A」「担当者B」のように置き換えても、複数の情報を組み合わせると本人を特定できる場合があります。匿名化は名前を消すだけではありません。日時、部署、固有の案件名など、組み合わせで特定につながる情報も減らしてください。
AFFiNE AIを使う場合も、AI機能を利用したときは関連する内容が第三者のAIベンダーへ送信される旨が公式ページに記載されています。ローカルファーストのノート保存と、AI処理時のデータ送信は分けて考え、利用規約と組織ルールを確認します。
プロンプトを改善しても、回答が正しいとは限りません。公開、提出、意思決定の前に、次の8項目を確認します。
確認で誤りが見つかったら「正しい答えを出して」とだけ頼まず、問題箇所を示します。たとえば「3段落目の数値は入力資料にありません。入力範囲だけで書き直し、根拠がない箇所は『要確認』としてください」と返すと、修正条件が明確です。
日本語の成果物が必要なら、まず日本語で問題ありません。専門用語や固有名詞の解釈がぶれる場合は原語を併記します。英語に変えるだけで正確さが保証されるわけではなく、目的、入力、制約、出力形式を明確にする方が先です。
長さより、判断に必要な情報がそろっているかが重要です。同じ指示の言い換えを重ねると、優先順位が分かりにくくなることもあります。まず目的・入力・出力形式を書き、結果に不足した条件だけを追加してください。
使えますが、{ } の部分を自分の状況に置き換えないと一般的な回答になりやすくなります。とくに対象者、入力範囲、期限、禁止事項は毎回見直してください。個人情報や機密情報を貼り付ける前の確認も必要です。
基本構造は共通して使えます。ただし、モデルや設定、利用できる機能によって出力は変わります。最初は同じ評価用プロンプトで比較し、その後、各サービスで不足した条件だけを調整すると違いを把握しやすくなります。
生成AIの出力には幅があり、会話履歴、設定、モデル更新などでも変化します。重要な作業では一度の回答を正解とせず、評価基準を決めて確認してください。再利用する場合は、プロンプトだけでなく入力資料と評価結果も一緒に保存します。
安易な入力は避けてください。必要性、所属先のルール、サービスの利用目的・保持・学習利用を確認し、可能なら匿名化します。顧客情報や人事・医療・契約情報などは、承認済みの環境と手順がない限り入力しないのが安全です。
AIプロンプトの基本は、目的、入力、出力形式を明確にすることです。回答がずれたら、役割、背景、制約を一つずつ足し、何が変わったかを確認します。例文を集めるだけでなく、自分の評価基準と検証結果を残すことで、次の作業でも再利用できる型になります。
文章、会議、調査、学習の出力をノートと一緒に育てたい場合は、AIノートアプリとしての活用例を確認してみてください。AIに判断を任せ切るのではなく、元の材料、プロンプト、修正版を同じ場所に残すことが、実務でいちばん効く改善方法です。
最終更新日:2026年7月30日